薄運
はくうん
名詞
標準
文例 · 用例
姉君が生きていたらとも思うのであったが、しかしそれも自分と同じように勝ち味のない競争者を持って薄運を歎くにとどまることになったであろう、富のない自分らは世の中から何につけても尊重されていくものではないらしいとまた思うことによって姉君がどこまでも情に負けず結婚はせまいとした心持ちのえらさが思われた。
— 宿り木 『源氏物語』 青空文庫
僕は薄運だと人もいひ僕もおもふけれど、此点を思ふと必ずしもさうでない。
— 東海道線 『旅日記』 青空文庫
魚を携えて近寄らぬかぎり、留吉はけっして村人に害を加えませんでしたし、また、別に性の悪いいたずらもしませんでしたから、村人はどちらかというと、彼の薄運に同情しておりますが、さりとて誰一人彼を可愛がるものはありません。
— 小酒井不木 『白痴の知恵』 青空文庫
かゝる怨家の胎内より薄運の二|情人、惡縁慘く破れて身を宿怨と共に埋む。
— ROMEO AND JULIET 『ロミオとヂュリエット』 青空文庫
……おゝお手をおこしゃれ、薄運の名簿の裡に、俺と並べ書にせられた足下ぢゃ!
— ROMEO AND JULIET 『ロミオとヂュリエット』 青空文庫
おゝ、今こゝで永劫安處の法を定め、憂世に※き果てた此肉體から薄運の軛を振落さう。
— ROMEO AND JULIET 『ロミオとヂュリエット』 青空文庫
かかる非命薄運の人に対して、唯物論者のごとき霊魂の滅亡を説くも、なんらの効力なく、ただますます失望に失望を重ねしむるばかりであります。
— 井上円了 『通俗講義 霊魂不滅論』 青空文庫