捉
捉
名詞
標準
文例 · 用例
我れはその袖をつと捉らへて放つ事をなすまじく、母は嬉しさに物は言はれで涙のみふりこぼし給ふや、父はいかさまに為し給ふらんなど怪しき事を思ひよる。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
鳥居清長の絵には、男姿、女姿、立姿、居姿、後姿、前向、横向などあらゆる意味において、またあらゆるニュアンスにおいて、この表情が驚くべき感受性をもって捉えてある。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
捉えがたいほのかなかおりを予想する。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
その結果として、「不快の混入」というごとき極めて一般的、抽象的な性質より捉えられない。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
また、サンサンス、マスネエ、ドゥビュッシイ、リヒアルド・スュトラウスなどの作品中の或る旋律を捉えて厳密なる意味において「いき」と名附け得るであろうか。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
偶然などという奴は「尖鋭の精神」の権化みたようなもので、よっぽど精神をほそくとんがらかさないでは捉えにくい代物だ。
— 九鬼周造 『かれいの贈物』 青空文庫
彼は永遠に捉へ得ない。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
しかもただ一歩で、すぐ捉へることができるやうに、虚偽の影法師で欺きながら、結局あの恐ろしい狂気が棲む超人の森の中へ、読者を魔術しながら導いて行く。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫