心積もり
こころづもり
名詞
標準
文例 · 用例
麓の道を横に辿ってその幅によりこれは只事でないと感じ取った翁の胸には、福慈岳の高さに就ても、その心積もりに相当しんにゅうをかけたものを用意していた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
それよりかねてかうと心積もりせしかくれ家の。
— 清水紫琴 『葛のうら葉』 青空文庫
人が住めば水も要ろうで、何も釣瓶の音が不思議と云うでは、道理上、こりゃ無いのでありまするが、婆さんに聞きました心積り、学生の方が自炊をしてお在と云えば、土瓶か徳利に汲んで事は足りる、と何となく思ってでもおりましたせいか、そのどうも水を汲む音が、馴れた女中衆でありそうに思われました。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
)を極めてこまそ心積りを、唐突に頬被を突込まれて、大分|狼狽えたものらしい。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
予め心積りをしていた払いの外に紺屋や、樋直し、按摩賃、市公の日傭賃などが、だいぶいった。
— 黒島傳治 『窃む女』 青空文庫
およそ山を見るほどのものの胸には山の高さに対して心積りというものがある筈である。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
見るほどのものはあらかじめの心積りの高さを率て実山に宛嵌め眺めるのであった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
実山の高さが見るものの心積りの高さにかなりの相違があっても、全然見るものの心積りを根底から破却し去らない限り、そこに観念なるものと実在なるものと比較し得られる桟はしがあってその上に立ち見るものをして両端の距りを心測して愕きの妙味を味い得しめるよすががある。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫