玉体
ぎょくたい
名詞
標準
the Emperor's person or presence
文例 · 用例
私愚案の真の忠臣は、大兄の角力のやうに致したきものなり、何分にも打つてもはたいても、地震があらうが雷が落ちようが、粘り附き絡み附き放さず、縦令親父の名を汚す役に立ずと云はれても、なんでも詬を忍んで主君の玉体を見届けるが理長ずるかと存じ候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
しかしガラスは特別製のものであり、丸は直線的に貫通しなかつたので、玉体には何の御恙もなかつた。
— 河上肇 『随筆「断片」』 青空文庫
殊に一時間余も御臨席あらせられた際、玉体は勿論龍顔に少しの御動きもなく、殆んど目じろきさえも遊ばされなかったのは、私どもの一層恐れ入った事である。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
これまでのように、主上の在すところは雲上と言い、公卿たちは雲上人ととなえて、龍顔は拝しがたいもの、玉体は寸地も踏みたまわないものと、あまりに高く言いなされて来たところから、ついに上下隔絶して数百年来の弊習を形造るようになった。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
ハシは元来舟のことで、フネは容器をいう意味であったことは、湯フネ・酒フネ又は馬フネなどの例があり、柩のことをもフネというた、天皇崩御ありて玉体を御霊柩に納めまつることを御舟入と申す言葉が之を証明している。
— 木暮理太郎 『二、三の山名について』 青空文庫
心ない春の風は、一瞬の間に花のお姿を散らし、西海の荒波は、小さい玉体を沈め奉ったのであった。
— 第十一巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
その間、三種の神器も、玉体と共に南海四国を転々とするのは、余りにもおそれ多く、これぞ朝家の嘆き、国を亡ぼす基である。
— 第十巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
式部卿今まで国内に働いていた、忠実な軍隊が、玉体と御位との固に、疆を安く戍る上は、代々お住まいなさる広い城の大広間で、祭の日に御膳部の用意をいたすことをお許下さいまし。
— FAUST. EINE TRAGODIE 『ファウスト』 青空文庫