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円本

えんぽん
名詞
1
標準
one-yen book (Showa period)
文例 · 用例
それにしても神保町の夜の露店の照明の下に背を並べている円本などを見る感じはまずバナナや靴下のはたき売りと実質的にもそうたいした変わりはない。
寺田寅彦 読書の今昔 青空文庫
一二 文学者の貧化 円本の濫出、出版資本の集中は、ついに、出版恐慌を現出し、それはとうぜん作家にも影響して、人気作家の独占的傾向が濃厚になってきた。
平林初之輔 昭和四年の文壇の概観 青空文庫
円本は勿論、改造文庫、岩波文庫、春陽堂文庫のたぐい、二十銭か三十銭で自分の読みたい本が自由に読まれるというのは、どう考えても有難いことである。
岡本綺堂 綺堂むかし語り 青空文庫
食べたくないんです」 いつもならば、机に向って円本の一冊を開くのだが、今夜はとてもそんな気になれなかった。
小酒井不木 被尾行者 青空文庫
欧州大戦と、この大戦では被害という程の経験をしなかった日本が、大戦に当って好景気時代にめぐり会い、社会経済に一段と膨脹を示したことは、直接にはジャーナリズムの規模の飛躍的な拡大となり、一方に円本時代を現出した。
宮本百合子 今日の文学と文学賞 青空文庫
そして当時の既成作家の大部分が、円本の氾濫によって所謂金もちになり、多少の資産をもつようになり、溌剌たる創作力を次第に生暖い日本生活の懐の中で鈍らせ始めた。
宮本百合子 今日の文学と文学賞 青空文庫
そして、ジャーナリズムもこの時代に一つの経済的な飛躍をとげ、菊池寛、久米正雄というような作家たちを通俗作家として出発させ、円本が売れた。
宮本百合子 今日の読者の性格 青空文庫
円本が売れた時代の一般の心理に立ちいってふれてみれば、あの頃だって、さてこれで一通り箪笥、長火鉢も恰好がついたから本でも買っておくか、という気持で、そんなら円本でもとろうかと、そして買った人は随分多かったのだろうと思う。
宮本百合子 今日の読者の性格 青空文庫
作例 · 標準
例句1
例句2
例句3
例句4
ウィキペディア

円本(えんぽん)とは、1926年(大正15年)末から改造社が刊行を始めた『現代日本文学全集』を口火に、各出版社から続々と出版された1冊1円の全集類の俗称、総称である。庶民の読書欲にこたえ、日本の出版能力を整えただけでなく、執筆者たちをうるおした。

出典: 円本 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0