釁
釁
名詞
標準
文例 · 用例
一方で、鐘に釁るというシナの故事に、何か物理的の意味はないかという考えから、実験をしてみたいと思って、半鐘の製造所を詮議すると、それがやはり奈良県だということがわかった。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
この事について幸田露伴博士の教えを請うたが、同博士がいろいろシナの書物を渉猟された結果によると釁るという文字は犠牲の血をもって祭典を挙行するという意味に使われた場合が多いようであるが、しかしとにかく、一書には鐘を鋳た後に羊の血をもってその裂罅に塗るという意味に使われているそうである。
— 寺田寅彦 『鐘に釁る』 青空文庫
かゝる時彼鐵板は腋を打ちて、拍車に釁ると聞く。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
そして病のために気短になっている勝三郎と勝四郎との間に、次第に繕いがたい釁隙を生じた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
が、彼の剣には、ファンガリィの峡谷に於ける独逸水兵の血潮が釁られている。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
しかしながら徳川氏の平和政策はこの新興の強国と国釁を開く事を恐れて、断然たる措置に出ずる事が出来なかったのであります。
— 伊波普猷 『琉球史の趨勢』 青空文庫
一方に釁の乗ずべきものあれば、他の一方においてこれを黙せざるもまた自然の勢、これを如何ともすべからず。
— 福沢諭吉 『旧藩情』 青空文庫
我が人民の智力学芸に欠点あるも、よくこれを容れてその釁に切込むことなく、永く対立の交際をなして、これに甘んずる者か。
— 福沢諭吉 『学者安心論』 青空文庫