漲溢
ちょういつ
名詞
標準
文例 · 用例
春暖に際して、人の皮下體内に血液の充實して漲溢せんとする如き觀を生じて來る理由は、決して唯一の理由では無く、複雜なる理由から成立つてゐるには相違無いが、温熱に著しく感ずるものは、氣體及び液體であるから、血液が暖暄の影響を受けて、人の體内に於て膨張することは確に有力の一原因に疑無い。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
徴兵制度ノ形式ハ獨佛ニ學ビタルモ、徴兵制度ノ精神タル國民皆兵ノ義務ハ、中世封建ノ期間ヲ除キテ、上世建國時代ニ發源シ更ニ現代ニ復興シテ漲溢シツツアル國民的大信念ナリ。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
山東苦力トシテ輸出セザルベカラザルホドニ人口漲溢セル支那ノ貧弱ナル一角ニ沒頭スルヨリモ、支那其ノ者ヨリ廣大ニシテ豐饒ナル英國ノ濠洲ヲ併合セヨ。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
肥大ならず、矮小ならず、膨張せず、萎縮せず、賑かからず、淋しからず、ただあるがままに満ち足って、空疎を知らず、漲溢を知らず、恐るることなく、蔑むことなき、清爽たる気魄である。
— 豊島与志雄 『梅花の気品』 青空文庫
だが、元来、感情や感情に基く社会行動は、要するに感情の資格と機能との外へ出ないので、そうした感情や行動がどれ程漲溢している事実があろうと、その理性的価値が豊富だということには決してならないので、従って、この事実は論理的な意義から云えば、その重大さが至極乏しいものだと云うことを妨げない。
— ――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判 『日本イデオロギー論』 青空文庫
立て続けにしゃべらなければならぬ程の思想内容が充満漲溢しているからか。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
充満漲溢しているのは単に彼の言語影像(彼の言葉を借りるなら)に過ぎない。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
引用そのものではなくて引用の精神の漲溢、これこそこの復古主義的・伝統主義的・国粋主義的・其の他其の他の文化反動の魂をなすものだ。
— ――日本文化論に及ぶ―― 『科学的精神とは何か』 青空文庫