抱き合い
だきあい
名詞
標準
文例 · 用例
」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
— 太宰治 『走れメロス』 青空文庫
ペテロやヨハネやバルトロマイ、そのほか全部の弟子共は、ばかなやつ、すでに天国を目のまえに見たかのように、まるで凱旋の将軍につき従っているかのように、有頂天の歓喜で互いに抱き合い、涙に濡れた接吻を交し、一徹者のペテロなど、ヨハネを抱きかかえたまま、わあわあ大声で嬉し泣きに泣き崩れていました。
— 太宰治 『駈込み訴え』 青空文庫
「あたしだって、まだ若いのだ」 しかし、夜の町角に佇んで、誰かれの見境なしに、男に話し掛けて行って、円山公園の暗がりの芝生の上に転って、抱き合いながら妖しく蠢いている小娘のような、はしたない真似は、自尊心から言っても出来なかった。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
男勝りの心に恥じて、強いてとも言い難く、さればとてこのままにては得三の手に死ぬばかりぞ、と抱き合いつつ泣きいたりしを、得三に認められぬ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
しかし自然と抱き合い、自然を絵の上に生かすという事は、君の住む所では君一人だけが知っている喜びであり悲しみであるのだ。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
葉子と貞世とは恋人のように抱き合いながら、アーメンという声の一座の人々からあげられるのを待って室にはいった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
」 左右から這い寄ると、血に濡れ、朱に染みた二人はひしと力を合せて抱き合いつつ、よろめきまろぶようにし乍ら、漸く表の庭先まで出ていった。
— 佐々木味津三 『十万石の怪談』 青空文庫
姉さまかッ」 声も喜びにおろおろと震えながら、ひしときょうだい左右から抱き合いました。
— 曲芸三人娘 『右門捕物帖』 青空文庫