鬱血
うっけつ
名詞
標準
文例 · 用例
僕は実は大変な鬱血漢でしたよ」「割合いに刺戟的な方だと思うわ」「ばあやのお喋りがはいらないんで、今日はあなたがよくお話しになる、僕の本望だな。
— 岡本かの子 『高原の太陽』 青空文庫
若し又凝つてそして鬱血すれば鬱血したため氣は甚だしく散るが、其の散り方は寧ろ散ると云ふよりは亂るといふべきで、煩悶衝動すること、山猿が檻中に在るが如き状を做すに至るのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
もしまた凝ってそして鬱血すれば、鬱血したため気は甚だしく散るが、その散り方は寧ろ散るというよりは乱れるというべきで、煩悶し衝動すること、檻の中で動きまわる山猿のような有様になるのである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
したがって、それに注入する胸腺静脈に鬱血をきたし、さらに、それが胸腺にも及んで鬱血肥大を起したので、当然気管を狭搾し、やや長時間にわたる漸増的な窒息の結果、死に達らしめたものであると思う。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
しかし、その鬱血腫脹している脈管は、屍体の位置が異なったりするたびに、血胸血液が流動するので、それがため、一種物理的な影響をうけたのであろう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
屍体頸部には絞縛したる褶痕と鬱血、その他の索溝相交って纏繞せり、然れども気管喉頭部、及、頸動脈等も外部より損傷を認むる能わず。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
後では大洋で二円と少しばかりの小銭が残っているばかりであったが俺は鬱血を一時に切り開いた時のような晴々しさを覚えた。
— 里村欣三 『苦力頭の表情』 青空文庫
僕は、この有名なる富める友人のお蔭で、その邸に出入しては、自分の財布に相談してはいつになっても得られないような御馳走にありついたり、遇には独り身の鬱血を払うために、町はずれの安待合の格子をくぐるに足るお小遣を彼からせしめたこともあった。
— 海野十三 『振動魔』 青空文庫