田舎女
いなかおんな
名詞
標準
文例 · 用例
いっそもう誰か田舎女をめとって、と考えた事もありましたが、白足袋や主婦の一日始まりぬ、そのあなたの美しいまぼろしが、いつも眼さきにちらついていながら、田舎女の、のろくさいおかみさん振りを眺めて暮すのは、あんまりみじめです。
— ―――三幕 『冬の花火』 青空文庫
私もみじめですし、また、そんな事は何も知らずにどたばた立ち働いているその田舎女にも気の毒です。
— ―――三幕 『冬の花火』 青空文庫
田舎女は田舎女らしく、音楽会や映画にも行かず家の中で黙って針仕事をしている事は、わるい事ですか?
— ―――一幕三場 『春の枯葉』 青空文庫
わたくしのような、旧式な田舎女は、もう、だめなのでしょうか。
— ―――一幕三場 『春の枯葉』 青空文庫
「こりゃ急に出そうもない」と一人が呟けば、田舎女房と見えたるがその前面にいて、「憎々しく落ち着いてるじゃありませんかね」 最初の発言者はますます堪えかねて、「ときに皆さん、あのとおり御者も骨を折りましたんですから、お互い様にいくらか酒手を奮みまして、もう一骨折ってもらおうじゃございませんか。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
」と大喝して女を力まかせに殴り、諸行無常を観じ、出家にならねばならぬと覚悟を極めた次第で、今日つらつら考えると私のような野暮で物欲しげで理窟っぽい男は、若い茶屋女に好かれる筈はなく、親爺のすすめる田舎女でも、おとなしくもらって置けばよかったとひとりで苦笑致して居ります。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
そのころには私も或る無学な田舎女と結婚していたし、いまさら汐田のその出来事に胸をときめかすような、そんな若やいだ気持を次第にうしないかけていた矢先であったから、汐田のだしぬけな来訪に幾分まごつきはしたが、彼のその訪問の底意を見抜く事を忘れなかった。
— 太宰治 『列車』 青空文庫
」 ジャネットは此の人混みにあおられるとすっかり田舎女の野性をむき出しにしてロアール地方の訛りで臆面もなく、すれ違う男達の冗談に酬いた。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫