領首
りょうしゅ
名詞
標準
文例 · 用例
」 とちと粘って訛のある、ギリギリと勘走った高い声で、亀裂を入らせるように霧の中をちょこちょこ走りで、玩弄物屋の婦の背後へ、ぬっと、鼠の中折を目深に、領首を覗いて、橙色の背広を着、小造りなのが立ったと思うと、「大福餅、暖い!
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
髪の毛が伸び過ぎて領首がむさくなっているのが手拭の下から見えて、そこへ日がじりじり当っているので、細い首筋の赤黒いところに汗が沸えてでもいるように汚らしく少し光っていた。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
その隙に随ひたりし翁は、これも傘投捨てて追ひすがり、老いても力や衰へざりけむ、水を蹴て二足三足、王の領首むづと握りて引戻さむとす。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
(水垣の領首を捉へ、室外に押し出さうとする)水垣 (抵抗もせず、それかと云つて、素直に出されもせず、頗る不明瞭な態度のまま一歩一歩遠ざからうとする)銀 (今まで、その様子を見てゐたが、つひに、たまらず、男に追ひ縋り)水垣さん……。
— 岸田國士 『傀儡の夢(五場)』 青空文庫
最近に腸チフスでひどく苦しんだカナダ自治領首都における給水状態を見たらガレノスは馬鹿にすることだろう!
— イェール大学で1913年に行った一連の講義 『近代医学の興隆』 青空文庫
「は……真に、御健勝にわたられ、……なんとも祝着に存じ……夏気がひどくありまして、……なんとも」「それで、用向はなんだ」 そう云いながら見ると、新九郎の額には大粒の汗がふき出して、たらたらと領首の方へ流れている。
— 山本周五郎 『蕗問答』 青空文庫