来身
らいみ
名詞
標準
文例 · 用例
するとその坊さんが、〔Madame, combien de fois vous a-t-il estime'e ?〕(奥さん、その人は、幾度あなたを尊敬しましたか)と問い返したので、それ以来身分のある女は、何人をも尊敬しないようになり、また懺悔にもあまり行かなくなった。
— 女房に与えて彼女に対する一情婦の心情を語る文 『男女関係について』 青空文庫
そんなものは夢にも知らないというので、お高は、あれ以来身につけて持ち歩いているあの離縁状を取り出して、磯五に突きつけてやるつもりで開こうとした。
— 林不忘 『巷説享保図絵』 青空文庫
アフリカという未知の地方への出発は、ジイドにとってはとりも直さず未知な生活、未知な自己の個性、未だ跋渉されていない自身の欲望の発見と征服の旅立ちであり、彼はこのとき、初めて、幼年以来身のまわりについていた聖書から自分を引離したのであった。
— 宮本百合子 『ジイドとそのソヴェト旅行記』 青空文庫
だが、元来身辺小説やその意味での私小説の文芸道に於ける不満や不充分さと思われるものはどこにあるか。
— 戸坂潤 『所謂批評の「科学性」についての考察』 青空文庫
」」 その時、ブーンと風をきって曳火弾のように米友の手のうちから飛び出したのは、それは例の宇治山田以来身辺を離さぬところの杖槍でありました。
— 胆吹の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
酒をのまなかったのは持病の胃カイヨーのせいもあるが、だいたいに本来身持ちのよい人物で、一生独身であった。
— 坂口安吾 『安吾下田外史』 青空文庫
元来身体内に財産を貯える動物では、財産を貯蓄すべき場所に狭い制限があって、とうてい多額の財産を蓄積するわけにはゆかぬが、体外に財産を貯える動物ではかような窮屈な制限がないゆえ、獲る道さえあらば、いかほどでも財産をためることができる。
— 丘浅次郎 『動物の私有財産』 青空文庫
枕のそばへ刀を置く習慣も、夜よく熟睡のできない癖も、みんなそれ以来身についたものである。
— 山本周五郎 『泥棒と若殿』 青空文庫