寄添
寄添
名詞
標準
文例 · 用例
「森影暗く月の光を遮った所へ来たと思うと少女は卒然僕に抱きつかんばかりに寄添って『貴様母の言葉を気にして小妹を見捨ては不可ませんよ』と囁き、その手を僕の肩にかけるが早いか僕の左の頬にべたり熱いものが触て一種、花にも優る香が鼻先を掠めました。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
大友とお正は何時か寄添うて歩みながらも言葉一ツ交さないでいたが、川村の連中が遠く離れて森の彼方で声がする頃になると、「真実に貴下はお可哀そうですねエ」と、突然お正は頭を垂れたまま言った。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
」 それではと前年の如く寄添うて、渓をのぼる。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
」 さて大友はお正に会ったけれど、そして忘れ得ぬ前年の夜と全然く同じな景色に包まれて同じように寄添うて歩きながらも、別に言うべき事がない。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
小春は密と寄添うた。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
世に不思議な、この二人の、毛布にひしと寄添ったを、あの青い石の狐が、顔をぐるりと向けて、鼻で覗いた……「これは……」 老人は懐炉を取って頂く時、お町が襟を開くのに搦んで落ちた、折本らしいものを見た。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
」 と、相傘するまで、つと寄添う。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」 と、寄添いながら、お君も莞爾。
— 泉鏡花 『縁結び』 青空文庫