諛
諛
名詞
標準
文例 · 用例
数年経って「外来語所感」を発表したこのごろは、外囲の事情が全く反対になってしまって、ある読者には私が現時流行の日本主義に阿諛苟合するかのような感を与えたかも知れない。
— 九鬼周造 『伝統と進取』 青空文庫
やさしくすれば、諛ふと取られ、ひどくすれば憤慨したとなる。
— 中原中也 『心理的と個性的』 青空文庫
なお、その老人に茶坊主の如く阿諛追従して、まったく左様でゴゼエマス、大衆小説みたいですね、と言っている卑しく痩せた俗物作家、これは論外。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
一点にごらぬ清らかの生活を営み、友にも厚き好学の青年、創作に於いては秀抜の技量を有し、その日その日の暮しに困らぬほどの財産さえあったのに、サラリイマンを尊び、あこがれ、ついには恐れて、おのが知れる限りのサラリイマンに、阿諛、追従、見るにしのびざるものがあったのである。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
むす子の白々しさに多くの女が無力になって幾分|諛い懐しむのには、こういう秘密な魔力がむす子にひそんでいるからではあるまいか。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
これは、決して、虚飾や、阿諛からではなくて、如何なる場合にも他人に一縷の逃げ路を与えて寛ろがせるだけの余裕を、氏の善良性が氏から分泌させる自然の滋味に外ならないのです。
— ――親の前で祈祷 『岡本一平論』 青空文庫
母は官署とか学校や先生とかいうものに無上の権威を感じ、何か阿諛の服従を以て迎えるという性質がありました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
ソノ所以ハ」「サレバ、友ヲ選ベバ悪人、交レバ阿諛追従ノ徒ニ若クハナシトハ、下界人間共ノ以テ金言ト成ス所ナリ。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫