幻辞.com

欣々

きんきん
形容動詞
1
標準
文例 · 用例
彼は二年間の貯蓄の三分の二を平気で擲って、錦絵を買い、反物を買い、母や弟や、親戚の女子供を喜ばすべく、欣々然として新橋を立出った。
国木田独歩 非凡なる凡人 青空文庫
お待ち召されよ」 欣々として駈け出そうとした老神主を静かに呼びとめると、早乙女主水之介なかなかに兵法家でした。
日光に現れた退屈男 旗本退屈男 第八話 青空文庫
のう、よろしゅうござるか」 なにかは知らぬながらも、すぐと百合江がうちうなずいて、欣々としながら立ち去りましたものでしたから、右門はすばらしく朗らかにいったものです。
村正騒動 右門捕物帖 青空文庫
欣々然として、あてもないのに、町の数をいくつも通り越して、賑かな往来を行ける所まで行ったら、往来は右へ折れたり左へ曲ったりして、知らない人の後から、知らない人がいくらでも出て来る。
夏目漱石 永日小品 青空文庫
彼の手にかかった被害者のすべてが、無念の中に悲憤の中に、もだえ死、もがき死んだにも拘わらず彼坂下鶴吉は、欣々然として絞首台上に立ち、国家の刑罰そのものに対してなんらの恐怖を示さず、何等の羞恥をも示さず、自若として死んだことを知って私は実に憤忿の念に堪えないのであります。
菊池寛 ある抗議書 青空文庫
もしも、坂下鶴吉の欣々然たる最期が、――国家の刑罰に対してなんの恐怖をも感じない態度が、彼の悪人としての根性から自発的に出たものならば、私はなんとも申しません。
菊池寛 ある抗議書 青空文庫
九人の人間を殺しながら欣々然として絞首台上に立ち得るような恐ろしい人間に姉夫婦が殺されたことを、不幸中の不幸と諦めるほかはありません。
菊池寛 ある抗議書 青空文庫
又囚人が幸福に禁獄され欣々然として処刑されると云うような心持を、典獄なる職務にある人が讃美しても差支えないものでしょうか。
菊池寛 ある抗議書 青空文庫
欣々(きんきん) — 幻辞.com