締め括り
しめくくり
名詞
標準
文例 · 用例
私の母は気性の派手な、負けず嫌いな、その癖|締め括りのない、学者の妻というよりは、まあ事業家の妻にした方が適任と思われる性質の女でした。
— 岡本かの子 『扉の彼方へ』 青空文庫
彼が松本に会って、すべて内幕の消息を聞かされた後、田口へ顔を出すのは多少きまりの悪い思をするだけであったにかかわらず、顔を出さなければ締め括りがつかないという行きがかりから、笑われるのを覚悟の前で、また田口の門を潜った時、田口ははたして大きな声を出して笑った。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
どうかしてこの込み入った画の配合や人間の立ち廻りを鷲抓みに引っくるめてその特色を最も簡明な形式で頭へ入れたいについてはすでに幼稚な頭の中に幾分でも髣髴できる倫理上の二大性質――善か悪かを取りきめてこの錯雑した光景を締め括りたい希望からこういう質問をかけるものと思われます。
— ――明治四十四年八月堺において述―― 『中味と形式』 青空文庫
高麗焼の陶器に、朝鮮民族の呑気な、しかし、また本質的な線の力強さを味い得るように、私たちは瓜の実の持ついろいろな線や、恰好や、肌触りに、見かけは間伸びがしたようで、どこかにちゃんと締め括りがあり、大まかなようで、実は細かい用意があるのに驚かされることがよくある。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
すべて外国で起ったことの締め括りは、自分の国に戻りついてからにしたいと思ったあのときのことなど、それもやはり帰って来てみて間違いではなかったと今彼は思うのであった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
しっとりしていて物事の締め括りをちゃんと知っている聡い子供だわ。
— 森本薫 『華々しき一族』 青空文庫
かうした場合に、流失を防ぐのに一番便利な籠は、口の締め括りの出来る髯籠であつた筈である。
— 折口信夫 『髯籠の話』 青空文庫
店を初め一家の締め括りのために自分はどうしても両親を助けて家にいなければならなかった。
— 与謝野晶子 『私の貞操観』 青空文庫