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馬橇

ばそり
名詞
1
標準
文例 · 用例
……      七 鈴をつけた二十台ばかりの馬橇が、院庭に横づけに並んでいた。
黒島傳治 氷河 青空文庫
河を乗り起してやってくる馬橇が見えた。
黒島伝治 国境 青空文庫
――街道を行きかう馬橇引や、買物に出て来たらしい百姓たちはいくどかまぶしそうに空を仰いだ。
島木健作 鰊漁場 青空文庫
じっと目を据えて見ると、土の上にじかにおかれた細長い飯台に向いあって、漁夫、馬橇引、百姓などとりまぜて七八人が腰をおろしていた。
島木健作 鰊漁場 青空文庫
馬橇に材木のように大きな生々しい薪をしこたま積み載せて、その悪路を引っぱって来た一人の年配な内儀さんは、君を認めると、引き綱をゆるめて腰を延ばしながら、戯れた調子で大きな声をかける。
有島武郎 生まれいずる悩み 青空文庫
はるか向こうを見ると山から木材や薪炭を積みおろして来た馬橇がちらほらと動いていて、馬の首につけられた鈴の音がさえた響きをたててかすかに聞こえて来る。
有島武郎 生まれいずる悩み 青空文庫
馬橇はあかるい舞台照明の青さの中をそれは静かにひつそりと走つてゐるのです、たくさんの電信柱の退却または都市建築物のすべてが幾何学派の絵画のやうに渦巻波の雪の道路はうねうねとうす緑の輪廓線に馳けてゆくのです。
詩集(12)その他の詩篇 小熊秀雄全集-13 青空文庫
ふと馬橇は速力を弱めお客さんの私にどんどんと二三度も尻餅を搗かせた手綱『乗せてくださらない』私はだまつて白眼で橇の天井裏を睨ませたほどのそれは優しい優しいたしかに女の声です『よう御座んす……お乗んなさい』馭者台の馭者は私の歓迎の辞の代読者でなかなか話せる男です。
詩集(12)その他の詩篇 小熊秀雄全集-13 青空文庫