来迎図
らいごうず
名詞
標準
文例 · 用例
「天寿国曼荼羅」に倣って後世仏像経巻等を繍することが行われ技のほうも次第に巧妙となったということは想像に難くないが、現存のものでは右の経文の他に山科勧修寺の繍仏、近江宝厳寺蔵の国宝「刺繍普賢十羅刹女図」の額、「弥陀三尊来迎図」の額など精巧のわざを示したものときいている。
— 矢田津世子 『※女抄録』 青空文庫
大倉粂馬さんといふ人の書かれたもので、大倉集古館にをさまつて居る、冷泉為恭筆の阿弥陀来迎図についての、思ひ出し咄だつた。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫
集古館の山越しの阿弥陀像が、一つの不思議を呼び起したといふよりも、あの弥陀来迎図を廻つて、日本人が持つて来た神秘感の源頭が、震火の動揺に刺激せられて、目立つて来たといふ方が、ほんたうらしい。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫
表題は如何ともあれ、私は別に、山越しの弥陀の図の成立史を考へようとするつもりでもなければ、また私の書き物に出て来る「死者」の俤が、藤原南家郎女の目に、阿弥陀仏とも言ふべき端厳微妙な姿と現じたと言ふ空想の拠り所を、聖衆来迎図に出たものだ、と言はうとするのでもない。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫
聖衆来迎図以来背景の大和絵風な構想が、すべてさう言ふ意図を持つてゐるのだから。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫
金戒光明寺の来迎図は、唯の山の端を描いたばかりだし、其から後のものは、峰の分れて見えるのは、凡そこから道が通じて、聖衆が降つて来るやうに描かれてゐる。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫
即、阿弥陀は山の端に留り、聖衆ばかり動いてゐると謂つた画様の川崎家の物や、何やら、中尊の背後にした聖衆の動静に来迎図離れの感じられる上野氏の物、特に後者は、阿弥陀の立像を膝元近くで画いたところに、山越し像の新様式の派出を示してゐる。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫
此には、山越し像と、来迎図との関聯、来迎図と御迎講又は来迎講と称すべきものとの脈絡を説いて、中世の貴族庶民に渉る宗教情熱の豊けさが書かれてゐる。
— 折口信夫 『山越しの阿弥陀像の画因』 青空文庫