余蘊
ようん
名詞
標準
inexhaustible supply
文例 · 用例
七月号の文学界にのったこの「花ごもり」は、一葉の小説としてはじめて性格らしい性格をもったお近という五十女が描き出されているばかりでなく、余蘊なくリアルにうつされているそのお近の世道観、処世哲学というものは、よくもわるくも浮世はこうしたものという腰の据えかたに徹したものである。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
山陽の事蹟は近時諸家の討窮して余蘊なき所である。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
油蝉の大集団であらうが、蝉声沸騰すとは抒し得て余蘊がない。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
千八百九十年 〔E'cole des Beaux-Arts〕(巴里美術学校)に開かれたる諸家蒐集品陳列会絵入目録の出版(ビングの解説あり)並に翌九十一年 Burty 所蔵品絵入目録の(Leroux 解説あり)の出版とは共に巴里の好事家のために浮世絵板画研究の道を示して余蘊なからしめたり。
— 永井荷風 『江戸芸術論』 青空文庫
」は、この事情を明快に指摘して、余蘊がない。
— ELEMENTS D'ECONOMIE POLITIQUE PURE OU THEORIE DE LA RICHESSE SOCIALE 『純粋経済学要論』 青空文庫
これ彼が高弟高杉晋作の彼を賛するの辞、言い尽して余蘊なし。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫
かう言はれてみると、その場合の感じが余蘊なく描れてゐるのである。
— 松本たかし 『松本たかし句集』 青空文庫
孔子の回に対する愛情を表現して余蘊がない。
— 和辻哲郎 『孔子』 青空文庫