曳金
曳金
名詞
標準
文例 · 用例
彼女は曳金に手をあてて、じっと床の上の猫を覗った。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
そして狙いを定め、指で曳金を強く引いた。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
狗が尾を振つて此方を一顧する、曳金に指をかける、狗は一躍する、鴫はパツと立つ、ドーンと撃ち放す、濛々たる白煙の消える時には、ハヤ狗が其の手柄の獲物を銜へて駈けて來る、といふ調子に行つたら實に愉快だナア、などと考へる。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
李は振放そうと争うはずみに、ピストルの曳金は外れて、我手でわが胸を撃ちて倒れかかる。
— 岡本綺堂 『青蛙神』 青空文庫
曳金を曳きさえすれば、つづけ射ちに打てるのです。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
射って見せますよ」 たのしげにいって、曳金にかけた細い指に、かそかに力を加える。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
この曳金に、お初ちゃんの細い細い、ほ、ほ、白魚のような指がさわりゃあ、この可愛らしい銃口から、小ちゃい小ちゃい、小豆つぶのような弾丸が飛び出して、まあ、蝋で作ったといおうか、珠玉をみがいたようだと言おうか、何とも言われず美しい、おまえさんの、その額の真ん中に、ボーンと食い込んでゆくのだよ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
安部は、すこしばかり石黒にからかってやれと思って、銃口を曖昧に自分の胸に向け、合図と同時に笑いながら曳金をひいた。
— 久生十蘭 『予言』 青空文庫