剣闘
けんとう
名詞
標準
文例 · 用例
だから彼等に一層のこと、頭からげら/\と笑はれて後ろ指を差されてしまつたのだつたら無事であつたらうに、飽くまでも私達の珍奇な剣闘振りに怖れを抱いてゐる彼等は思はず哄笑を挙げながらも、それに左様な意味を求めて、ひたすら畏怖の眼を視張るのみであつた。
— 牧野信一 『武者窓日記』 青空文庫
ひとりの部屋で、歌をうたつても、剣闘を試みても、たゞ/\在りのまゝの生活は止め度もなく憂鬱であるだけだつた。
— 牧野信一 『ゾイラス』 青空文庫
と思つて、女房の手を執つたまゝ、ぼんやり見あげてゐると、壇上の男が不図執りあげたものに気づくと、それは私の剣闘練習用の錆びたサアベルであつた。
— 牧野信一 『ゾイラス』 青空文庫
ぼんやり坐って剣闘を眺めていた佐吉が、はっと我れに返ったように見ると、もう一人の弥四郎頭巾が先に出て行った一人の後を追って、これもいま部屋を飛び出そうとしているから、佐吉は、「己れっ!
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫
……とにかく、江戸の巷に疾風のごとき五梃駕籠が現われたのはこの時からで、あとには、一夜の剣闘に荒らされた鈴川の屋敷に、朝の光になごむ氷雨がまたシトシトとけむっていた。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
言うまでもなく、源十郎と対談しているところへ、左膳と捕吏の剣闘が始まったので、こっそり部屋を脱けて出たおさよ婆さんであった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
中村を進発のとき、軍之助を筆頭に各務房之丞、山東平七郎、轟玄八ほか二十七人、〆めて三十一名だった相馬月輪組は、木戸の峠の剣闘に秋穂左馬之介等三人を失って二十八人、それでも与吉を案内に水戸街道の宿々に泊りを重ねて、きょうの夕刻、こうしてたどり着いたのが助川の旅籠鰯屋の門口だ。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
夕まけて戸内の剣闘。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫