本態
ほんたい
名詞
標準
文例 · 用例
勿論児童の質問があるごとにかように話しているわけにはゆかないが、教師の根本態度が、この考えであってほしいのである。
— 寺田寅彦 『研究的態度の養成』 青空文庫
感の一致が月日の立つと共に破れると、御金配分を受けて何処かへ行つてしまふのが却つて本態だつたのである。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
古い説かも知らんが私の知ってる限りじゃ、今迄の美学者も実感を芸術の真髄とはせず、空想が即ち本態であるとしている。
— 二葉亭四迷 『私は懐疑派だ』 青空文庫
主人は無論、さすがの迷亭もこの不意撃には胆を抜かれたものと見えて、しばらくは呆然として瘧の落ちた病人のように坐っていたが、驚愕の箍がゆるんでだんだん持前の本態に復すると共に、滑稽と云う感じが一度に吶喊してくる。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
そうして、行為と思考とは、様々なこれらの複眼的な意識に支配を受けて活動するが、このような介在物に、人間の行為と思考とが別たれて活動するものなら、外部にいる他人からは、一人の人間の活動の本態は分り得るものではない。
— 横光利一 『純粋小説論』 青空文庫
翅となっている斜線がそれぞれ本態から自立して横の空間の意識を満足させているよ。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
認識活動の本態は感覚ではないからだ。
— 感覚活動と感覚的作物に対する非難への逆説 『新感覚論』 青空文庫
一つは人面獣身であり他の一つは女人であるとしても、何事かここには物というものの本態をなす無意識な豊かさが、実物の体積となって示されている。
— 横光利一 『スフィンクス(覚書)』 青空文庫