幻辞.com

張り板

はりいた
名詞
1
標準
文例 · 用例
その夜東京の宿屋で寝たら敷蒲団が妙に硬くて、まるで張り板の上にでも寝かされるような気がした。
寺田寅彦 電車と風呂 青空文庫
小さな張り板ぐらいの恰好の木枠に白紙を貼って、それに筆太に墨黒々と「原野九郎」とか「小菅雷三」とか「不破伊勢次」とかそういった感じのする名前が書きひけらかしてある。
寺田寅彦 柿の種 青空文庫
二十余年の昔、小石川の仮り住まいの狭い庭へたらいを二つ出してその間に張り板の橋をかけ、その上に横臥して風の出るのを待った夜もあった。
寺田寅彦 涼味数題 青空文庫
古いお櫃には、古い足袋がギッシリつまり、古い空き樽の横に、古い張り板が立てかけてある始末。
日光の巻 丹下左膳 青空文庫
肩など張り板のように真っ四角なのが、大きな眼をすごく光らせ、いま言った大刀釣瓶落しを下段に構え、白足袋の裏に庭土を踏んで、ソッと爪だちかげん……。
日光の巻 丹下左膳 青空文庫
「姐御、もうでえぶほとぼりの冷めたころだから、あっしアこれから、品川であの柳生源三郎の一行から盗みだしたこの壺を、妻恋坂の峰丹波様へ納めてくるぜ」「チョイト、張り板が裃を着たような、ヤに突ッぱった田舎のお侍さんたちが、眼の色かえて江戸じゅう、そいつを探しているっていうじゃないか。
こけ猿の巻 丹下左膳 青空文庫
湯殿の口には小さい妹の行水盥に水を一杯張ったのが、縦横に張り板をのせて据えて居る。
宮本百合子 盗難 青空文庫
傍には、身重な母親が張り板をよせかけ、指先を真赤にしながら、古い裏地を張っている。
宮本百合子 光のない朝 青空文庫