書割
かきわり
名詞
標準
portable painting used as part of the backdrop (in kabuki, etc.)
文例 · 用例
それからゴーホを煮しめたとでも云ったしょうな「深草」や、田舎芝居の書割を思い出させる「一力」や、これらの絵からあらを捜せばいくらもあるだろうし、徒らに皮相の奇を求めるとけなす人はあるだろうが、しかし何と云ってもどこか吾人の胸の奥に隠れたある物、ある根強い要求に共鳴をさせるところがありはしまいか。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫
妾達の小屋はセエヌ左岸のアルマの橋を渡ったところに、日本画の万灯に飾られて、富士山や田園の書割にかこまれて、賑かにメリンスの友禅の魅力を場末の巴里人に挨拶していたのです。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
彼は周囲に、ただ芝居の書割の中に往来するぐらいの注意力しか奪われなくなった。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
」「ところで、……清葉が下階へ下りて、……近所だからね、自分の内へ電話を掛けて、婢にいいつけて、通りへ買いに遣った、タングステンが、やがて紙包みになって顕れて、芝居の月の書割のように明るくなった。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
かつらをかぶつて、黒板……」 と、黄昏の出會頭に、黒板塀の書割の前で、立話に話しかけたが、こゝまで饒舌ると、私の顏を見て、變な顏色をして、「やあ、」 と言つて、怒つたやうに、黒板塀に外れてかくれた。
— 泉鏡太郎 『間引菜』 青空文庫
夜そこに入って、樹立の間から前面の屋並みを見ると、電燈の明るい二階座敷や、障子の陰に見える客や芸者の影、箱をかついで通る箱丁、小刻みに歩いて行く女たちの姿などが、芝居の舞台や書割のようでもあれば、花道のようでもあった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
優等生型の身辺事情には、いろいろ順序が立っているでしょうからねえ」「からかわれる張り合いもないような事なんです」 規矩男の家は松林を両袖にして、まるで芝居の書割のように、真中の道を突き当った正面にポーチが見え、蔦に覆われた古い洋館である。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
青苔の緑青がぶくぶく禿げた、湿った貼の香のぷんとする、山の書割の立て掛けてある暗い処へ凭懸って、ああ、さすがにここも都だ、としきりに可懐く熟と視た。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
作例 · 標準
歌舞伎の舞台では、書割が場面転換の重要な役割を果たす。
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その演劇の書割は、江戸時代の街並みを忠実に再現していた。
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書割の桜の絵が、舞台に春の雰囲気をもたらしていた。
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