広庭
こうてい
名詞
標準
文例 · 用例
広庭の牡丹や天の一方に 前の句と同じように、牡丹の幻想を歌った名句である。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
生れて間もない私が竜門の鯉を染め出した縮緬の初着につつまれ、まだ若々しい母の腕に抱かれて山王の祠の石段を登っているところがあるかと思うと、馬丁に手を引かれて名古屋の大須観音の広庭で玩具を買っている場面もある。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
広庭を一つ隔てた母屋の方では、宵の口から、今度暑中休暇で帰省した、牛込桐楊塾の娘たちに、内の小児、甥だの、姪だのが一所になった処へ、また小児同志の客があり、草深の一家も来、ヴァイオリンが聞える、洋琴が鳴る、唱歌を唄う――この人数へ、もう一組。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
浄め砂置いた広庭の壇場には、幣をひきゆい、注連かけわたし、来ります神の道は、(千道、百綱、道七つ。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
式場は、教会の広庭に、大きな曲馬用の天幕を張って、テニスコートなどもそのまま中に取り込んでいたようでした。
— 宮沢賢治 『ビジテリアン大祭』 青空文庫
こういう夕暮に、かの女はよくパッシィの家を出て、あまり遠くないトロカデロ宮裏の広庭に行った。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
トロカデロ宮を裏へ廻った広庭はセーヌの河岸で、緩い傾斜になっていた。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
どの棟の部屋もみな一側面は同じ芝生の広庭に面し、一側面は凡て廊下で連絡していた。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫