新講
しんこう
名詞
標準
文例 · 用例
伊藤痴遊であったかと思う、若いのに漆黒の頬髯をはやした新講談師が、維新時代の実歴談を話して聞かせているうちに、偶然自分と同姓の人物の話が出て来た。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
」この人のいふのだからあてには成らないが、いま座敷うけの新講談で評判の鳥逕子のお父さんは、千石取の旗下で、攝津守、有鎭とかいて有鎭とよむ。
— 泉鏡太郎 『春着』 青空文庫
伊勢へ、津島へ、金毘羅へ、御嶽へ、あるいは善光寺への参詣者の群れは一新講とか真誠講とかの講中を組んで相変わらずこの街道にやって来る。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
そうして新聞社関係の人々は、こういう作品に、新講談という名を与え、文藝春秋、新小説の人々は、読物文芸という名によって呼んでいたのである。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫
これは、その他、髷物、新講談などとも呼ばれているのであるが、かかる通俗的な、種々な名称が与えられいるように、しかく通俗極まる小説を指すのである。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫
しかし、その後、だんだん、私の健康が恢復して、所謂「新講談」を頻りに読むようになってから、私はサンデー毎日の特別号などに発表された氏の作品にだんだん引きつけられたが、遂に、「大鵬のゆくえ」を読むに至って、すっかり魅せられてしまい、国枝崇拝者の一人となった。
— 小酒井不木 『国枝史郎氏の人物と作品』 青空文庫
大震災以来、所謂「新講談」が歓迎せられるようになり、その方面に優れた作家も多いようであるから追々そういう人の手によって、立派な歴史的探偵小説の書かれる日が来るだろうと、私はひそかに待っているのである。
— 小酒井不木 『歴史的探偵小説の興味』 青空文庫
新講談の作者も試みる程度の事象と心理との分析に止まっている。
— 宮本百合子 『文芸時評』 青空文庫