細末
さいまつ
名詞
標準
文例 · 用例
黄いろくからびた刈株をわたッて烈しく吹きつける野分に催されて、そりかえッた細かな落ち葉があわただしく起き上がり、林に沿うた往来を横ぎって、自分の側を駈け通ッた、のらに向かッて壁のようにたつ林の一面はすべてざわざわざわつき、細末の玉の屑を散らしたように煌きはしないがちらついていた。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
その作り方は、土龍、井守、蝮蛇の血に、天鼠、百足、白檀、丁香、水銀郎の細末をまぜて……」 そんな陰謀があるとは、知らぬが仏の奈良の都へ、一足飛びに飛んだ佐助は、その夜は大仏殿の大毘盧遮那仏の掌の上で夜を明かした。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
即ち、巴豆の細末と大黄の一両宛に鍋臍灰を混じて、是を白馬の尿と、さうして、未だ地上の何物にも触れぬ前の天の雨水を層雲の彼方で受けた無根水とをもつて練り固めるので御坐います。
— 牧野信一 『毒気』 青空文庫
○鳥ソボロは鳥の肉を細末に叩き味淋、醤油、砂糖等にてよく炒り付けたるなり。
— 春の巻 『食道楽』 青空文庫
その細末の小さなこと、例えば、洋服のカラーは、そもそもはじめには Collar これを「コラル」と発音して、「首巻」或いは「つけえり」と訳された。
— 木村荘八 『ハイカラ考』 青空文庫
もう霜がおりているのであろう、地上はいちめんに白く、細末に月光を映してきらきらと光っていた。
— 山本周五郎 『風流太平記』 青空文庫
石臼は薬材を細末にするために、また挽き茶の調製にも使われ、日本には相応に古い頃から存在したろうが、それが家々の食物調製にまで、利用し得られるには条件があった。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
この派に属する人々は律法の伝統を厳格に維持することを本旨とし、ことにその中の学者・教法師と称えられる者は、日常生活の細末の点にいたるまで律法を適用するため、その準則を定め、解釈上の伝統を固守することを使命とした。
— 矢内原忠雄 『キリスト教入門』 青空文庫