通り口
とおりぐち
名詞
標準
文例 · 用例
早生れの安子は七つで小学校に入ったが、安子は色が白く鼻筋がツンと通り口許は下唇が少し突き出たまま緊り、眼許のいくらか上り気味なのも難にならないくらいの器量よしだったから、三年生になると、もう男の子が眼をつけた。
— 織田作之助 『妖婦』 青空文庫
マ何処を押せばそんな音が出ます……アアアアつまらない心配をした、此方ではどこまでも実の甥と思ッて心を附けたり世話を焼たりして信切を尽していても、先様じゃア屁とも思召さない」「イヤ決してそう言う訳じゃア有りませんが、御存知の通り口不調法なので、心には存じながらツイ……」「イイエそんな言訳は聞きません。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
」とそれから売揚げのつけ方なども、一ト通り口早に教えた。
— 徳田秋声 『新世帯』 青空文庫
尾鰭も眼も生々と致して、いかさま鮮魚らしゅう見ゆるが、奇怪なことに、この通り口からどす黒い血を吐き垂らしておるわ。
— 続旗本退屈男 『旗本退屈男 第二話』 青空文庫
門野は此暑さに自分の身体を持ち扱つてゐる位、用のない男であつたから、頗る得意に代助の思ふ通り口を動かした。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
門野はこの暑さに自分の身体を持ち扱っている位、用のない男であったから、頗る得意に代助の思う通り口を動かした。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
一通り口上を述べた三四郎はもう何も云ふ事がなくなつて仕舞つた。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
併し前にも申します通り口語こそ變遷を致しますけれども、文語に變遷と云ふことはないのであります。
— 森鴎外 『假名遣意見』 青空文庫