竊
竊
名詞
標準
文例 · 用例
柳放火、殺人、竊盜、夜行、姦淫、およびあらゆる兇行をして柳の樹下に行はしめよ。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
向合て立つたのは細目の痩形、鼻下に薄い八字を蓄へて金縁の眼鏡が光る、華奢のステツキに地を突いて、インバネスの袖を氣にしながら對手が惡いと見て、怯氣た體、折折無氣味|相に、眼を轉じて前後を竊視する。
— 萩原朔太郎 『二十三夜』 青空文庫
見學の人達は好奇な眼をあげて彼れの顏に表はれる感情を竊かに讀まうとした。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
「稚氣、衒氣……而かも嚴肅に取あつかはねばならぬ、妻の死體と記憶とをめちや/\に踏みにじつて、心竊かに得意を感じた稚氣、衒氣!
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
Pirate といふ言葉は、著作物の剽竊者を指していふときにも使用されるやうだが、それでもかまはないか、と私が言つたら、馬場は即座に、いよいよ面白いと答へた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
或年|雲飛用事ありて外出したひまに、小偸人が入つて石を竊んで了つた。
— 國木田獨歩 『石清虚』 青空文庫
某は心中|深く立腹して、他の事にかこつけて雲飛を中傷し遂に捕へて獄に投じたそして人を以て竊に雲飛の妻に、實は石が慾いばかりといふ内意を傳へさした。
— 國木田獨歩 『石清虚』 青空文庫
其|翌年になり權官は或罪を以て職を剥れて了い、尋で死亡したので、僕が竊かに石を偸み出して賣りに出たのが恰も八月二日の朝であつた。
— 國木田獨歩 『石清虚』 青空文庫