掠め去る
かすめさる
動詞
標準
文例 · 用例
羅摩泥、妹がために返報せんと、私陀を掠め去る。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
大分風が強くなったと見えて、相変らず足の速い片雲の影が、芝生の上に慌だしい明暗を残して掠め去る。
— 大阪圭吉 『死の快走船』 青空文庫
代表的な観光道路で、白地に黒線のマークを入れた道路標識が、スマートな姿体で夜目にも鮮かに車窓を掠め去る。
— 大阪圭吉 『白妖』 青空文庫
百五十両を掠め去るその二、三ヶ条を云えば、小幡その外の人が江戸に来て居て、私が一切引受けて世話をして居るときに、藩から勿論ソレに立行く丈けの金を呉れよう訳けはない。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
恣に放つて置いて、而も、湧然として動き来り、心を掠め去る瞬間の影である。
— 万葉集以後の歌風の見わたし 『短歌本質成立の時代』 青空文庫
260さはれ足疾きアキリュウス、彼れ今われの畏怖の的、その兇暴の一念は、トロイア及びアカイアの二軍|互に相對し、威武を比ぶる原上に留ることを肯んぜず、進み、都城と女性とを擧げてひとしく掠め去る其戰を彼れ念ず。
— ILIAS 『イーリアス』 青空文庫
時はあらゆるものを掠め去るものだ、どんなに大きな悲しみも苦痛も、過ぎてゆく時間に癒されないものはない。
— 墨丸 『日本婦道記』 青空文庫
北極星を眺めてゐると、海辺から帰る鵜烏が一羽、二羽、淋しい啼声をたてながら星空をかすめ去る。
— 岡本かの子 『星』 青空文庫