幻辞.com

聳え立つ

そびえたつ
動詞
1
標準
文例 · 用例
右手の方の空間で何かキラキラ光るものがあると思ってよく見ると、日本橋の南東側の河岸に聳え立つあるビルディングの壁面を方一尺くらいの光の板があちらこちらと這い廻っている。
寺田寅彦 異質触媒作用 青空文庫
崖の崩れた生ま生ましい痕が現はになり渓流の中にも危岩が聳え立つて奔流を苛立たせてゐる処もある。
寺田寅彦 雨の上高地 青空文庫
雲は稍薄く成つたが、天守の棟は、聳え立つ峯よりも空に重い。
泉鏡太郎 神鑿 青空文庫
人間の翁がそう感ずると等しく、自然自体も感ずるのであろうか、翁の指尖が目途の正面を越して反対側へ撫で移るまもないところから地平は隆起し、麓から中腹にさしかかり、ついに聳え立つ峯巒となる。
岡本かの子 富士 青空文庫
くろがねの根元は牛をも隠すほどの太さで、聳え立つ樹幹も空に雄々しくすさまじきものに仰がれます。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
この夜景の中に藍染橋と土橋の袂へ二口の片側町の口がつき、それが町中へ入るに従ってだん/\家数の影は濃くなり、町家の群から抽んでて聳え立つ西隅の遊郭は煌々した灯を鏤めて怪物の棲む城のようです。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
」 声を出して、三造はきょとんとして、何かに取掴まったらしく、堅くなってそこらを捻向く……と、峠とも山とも知れず、ただ樹の上に樹が累なり、中空を蔽うて四方から押被さって聳え立つ――その向って行くべき、きざきざの緑の端に、のこのこと天窓を出した雲の峯の尖端が、あたかも空へ飛んで、幻にぽちぽち残った。
泉鏡花 星女郎 青空文庫
湖に面した廣縁に置かれた籐椅子によつて眺めると、昨日は水の面をはつて一望をたゞ有耶無耶の中に埋めた霧が、今朝はあとも無く晴れて、大湖を繞る遠い山々の胸や腰のあたりに白雲が搖曳してゐるばかりで、男體山は右手の前面に湖岸から直ちに四千尺の高さをもつて美しい傾斜で、翠色|滴るばかりに聳え立つてゐる。
幸田露伴 華嚴瀧 青空文庫
聳え立つ(そびえたつ) — 幻辞.com