涙雨
なみだあめ
名詞
標準
light rain
文例 · 用例
今は早や、お慈悲、お慈悲の聲も嗄れて、蒋生手放しに、わあと泣出し、涙雨の如く下ると聞けば、氣の毒にも又あはれに成る。
— 泉鏡太郎 『麥搗』 青空文庫
雨は林檎の香のごとくしみじみとふる、さくさくと、扉を透かしてふる雨はVerlaine の涙雨、赤いコツプに線を引く、ひとり顫へてふりかくる辛い胡椒に線を引く、されば声出す針の尖、蓄音器屋にチカチカと廻るかなしさ、ふる雨に酒屋の左和利、三勝もそつと立ちぎく忍び泣き。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
声もえたてぬ奇しさは夜半に「秘密」の抜けいでて、所作になげくや、ただひとり、パントマイムの涙雨。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
ジャズで踊って、リキュルでふけて、明けりゃダンサーの涙雨 北山はしわがれた声で歌い出した。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
十吉 大したこともあるまいが、これが梅若の涙雨だ。
— 岡本綺堂 『箕輪の心中』 青空文庫
六助 梅若の涙雨が、たうとう本降りになつて來やあがつた。
— 岡本綺堂 『箕輪の心中』 青空文庫
春雨工場の窓で今日聞くは慣れぬ稼ぎの涙雨、弥生と云へど、美くしい柳の枝に降りもせず、煉瓦の塀や、煙突や、トタンの屋根に濡れかかり、煤と煙を溶きながら、石炭|殻に沁んでゆく。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
「大磯の虎が涙雨」と言つて、曾我討ち入りの夜に降る雨を言ふと伝へた雨も、唯虎御前に責任を負はせたゞけの昔語りで、さういふことを言ひ出した原因は、農村における皐月の意味の深さ、説いても説きゝれぬ五月の心理を、あゝ言ふ形に説いて見たばかりである。
— 折口信夫 『芸能民習』 青空文庫
作例 · 標準
決勝戦で惜しくも敗れた選手たちの頬を、冷たい涙雨が濡らしていた。
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「せっかくの旅行なのに涙雨だね。でも、しっとりした雰囲気も悪くないよ」
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空から降る涙雨が、街全体の熱気を冷ますかのように静かに降り続いている。
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標準
rain falling at a time of sadness
作例 · 標準
葬儀が終わり、出棺のタイミングで降り出した雨は、まさに故人を惜しむ涙雨だった。
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「お別れの日にこんな雨が降るなんて、天も悲しんでいる涙雨に違いない」
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悲しい別れの場面に寄り添うように、空からは細かな涙雨が降り注いでいた。
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