帰館
きかん
名詞
標準
文例 · 用例
円輔は振返って、「や、御帰館!
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
読者御存じの都合ありて、間に合せの車夫に腕車を曳せ、今や鮫ヶ橋より帰館の途次、四ツ谷見附に出でて、お堀端を走ること十間ばかり、ふと顕れたる中年増、行違いざま、慌しく「あれ若い衆様、心棒が抜けてるよ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
」 駿河台のお邸にては、夜に入りても御前様の御帰館無きより、心当を問合せ、御親類中へ使者を向くるに、いずくにも見えさせたまわず、皆目|御立寄これなきよし。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
「御帰館――」と叫ぶにつれ、老婦人|衝と出でて、式台に成らせたまえば、一同眼の覚めたる心地して、万歳を哄と唱え、左右にずらりと平伏するを、見向もせで、足疾に仏室の内、隔の障子を閉切りたまいぬ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
御帰館との御諚ならば立ち帰りまするでござりますが、釣れぬのは――」「釣れぬのは何じゃ」「水死人ゆえでも、御眉間傷の利き目が薄いゆえでもござりませぬ。
— 幽霊を買った退屈男 『旗本退屈男 第十話』 青空文庫
御無事の御帰館、何よりに御座ります。
— 佐々木味津三 『老中の眼鏡』 青空文庫
予はもう帰館いたすぞ。
— 千柿の鍔 『右門捕物帖』 青空文庫
お身も姫上におすすめ申して、おとなしく御帰館あるように取り計らえ。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫