引解
ひきとき
名詞
標準
文例 · 用例
」――わッと群集の騒いだ時、……堪らぬ、と飛上って、紫玉を圧えて、生命を取留めたのもこの下男で、同時に狩衣を剥ぎ、緋の袴の紐を引解いたのも――鎌倉殿のためには敏捷な、忠義な奴で――この下男である。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
もう一人、袷の引解きらしい、汚れた縞の単衣ものに、綟綟れの三尺で、頬被りした、ずんぐり肥った赤ら顔の兄哥が一人、のっそり腕組をして交る…… 二人ばかり、十二三、四五ぐらいな、子守の娘が、横ちょ、と猪首に小児を背負って、唄も唄わず、肩、背を揺る。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
女で食う色男を一度食わせたことのある、台の鮨のくされ縁が、手扶けの介抱と称えて入り込んで、箪笥の抽斗を明けたり出したり、引解いたり、鋏を入れたり。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」――わツと群集の騒いだ時、……堪らぬ、と飛上つて、紫玉を圧へて、生命を取留めたのも此の下男で、同時に狩衣を剥ぎ、緋の袴の紐を引解いたのも――鎌倉殿のためには敏捷な、忠義な奴で――此の下男である。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
庭に向へる肱懸窓の明きに敷紙を披げて、宮は膝の上に紅絹の引解を載せたれど、針は持たで、懶げに火燵に靠れたり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫