拗け
ねじけ
名詞
標準
文例 · 用例
僅な松明の灯に照し出される岩肌は、穴の屈曲に従って 拗けた瘤をつけ 波打つ襞を重ねる。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
で、潔い貴方と、拗けた私とでは、始からお話は合はんのですから、それでお話を為る以上は、どうぞ何事もお聞流に願ひます」「ああ、善く解りました」「真人間になつてくれんかと有仰つて下すつたのが、私は非常に嬉いのでございます。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
それに子に取つては先づ第一に親しかるべき母親は以上のやうな有樣、萬事母親讓りに出來て居る姉娘の虚心したのは虚心したままに拗けて行き、それとはまた打つて變つた癇癪持の負嫌ひの意地惡な妹娘は今でさへ見てゐて心を寒うするやうな行爲を年齡と共に漸々積み重ねて行きつつあるのである。
— 若山牧水 『一家』 青空文庫
加うるに彼の性質は既に拗け、剛腹で執拗であるから、長き牢獄生活に次第に兇暴になったのは敢て不思議ではない。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
好意を持つもの同士の間に、其でもくり返さねばならぬ疑ひ、拗けごと。
— 折口信夫 『実川延若讃』 青空文庫
拗けくねった木がその間に根を張り枝を拡げて、逆茂木にも似ているが、それがなければ到底も登れぬ場所がある。
— 木暮理太郎 『皇海山紀行』 青空文庫
拗けくねった栂が出て来ると尾根も幾つかに岐れて、どれもこれも岩骨を剥き出している。
— 木暮理太郎 『黒部川奥の山旅』 青空文庫
●大菩薩連嶺の南半(佐野峠より) 頂上から二十分|許り黒木の中を北に進むと、尾根が痩せて大きな岩が露出し、木は拗けて丈が矮くなり、黒檜、米栂、米躑躅などが多い。
— 木暮理太郎 『初旅の大菩薩連嶺』 青空文庫