炙り肉
あぶりにく
名詞
標準
文例 · 用例
雛鶏と家鴨と羊肉の団子とを串した炙き串三本がしきりに返されていて、のどかに燃ゆる火鉢からは、炙り肉のうまそうな香り、攣れた褐色の皮の上にほとばしる肉汁の香りが室内に漂うて人々の口に水を涌かしている。
— LA FICELLE 『糸くず』 青空文庫
そこには黒光りに磨き上げられたどっしりとした大卓が据えられ、無数の彫りを施した椅子が取りかこみ、金銀の大皿に盛った犢の炙り肉や、香料を入れた鳥の蒸し焼き、紅鶴の舌や茸や橄欖の実の砂糖漬、蜂の子の蜜煮、焼き立ての真っ白な麺麭が所狭きまでに並べられていた。
— 橘外男 『ウニデス潮流の彼方』 青空文庫
あの劇中でも金のないフレスタコフのあなぐら部屋へ靴の裏みたいなあぶり肉をそれでも給仕が運んで来たじゃあないか。
— 宮本百合子 『子供・子供・子供のモスクワ』 青空文庫
その鶏をあぶり肉にしたやうな食慾をそそる肉感だつた。
— 坂口安吾 『老嫗面』 青空文庫
そこで、三人は又手さぐりで、筏につんである木箱のそばにより、その中の鳥のあぶり肉だとか、パンの木の実だとかを取出して、たらふくつめこみました。
— 江戸川乱歩 『新宝島』 青空文庫