心無し
こころなし
名詞
標準
lacking in prudence
文例 · 用例
孟子の所謂恒産無き者は恒心無しとでも謂うものか、多少でも財産や田畑のある者は左程でもないようだが、その他の奴等に至っては、どれもこれも、汗水流して少しばかりの金を儲けるよりは、ゴロゴロ寝ていた方が楽だといわぬばかり。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
問題外、関心無し、そんな気持に近かった。
— 太宰治 『家庭の幸福』 青空文庫
四 心無しを使うなと俚諺にもいう十月の中十日の短い日はあわただしく暮れて、七兵衛がお兼ばあやの給仕で夕飯をくってしまった頃には、表はすっかり暗くなった。
— 槍突き 『半七捕物帳』 青空文庫
それを察してゐながら、意地悪く帰るといふのは余りに心無しのやうでしたけれど、その時のわたくしは何うしても約束の期限通りに帰らなければ両親に対して済まないやうに思ひましたので、雨のふる中をいよ/\帰ることにしました。
— ――「近代異妖編」 『停車場の少女』 青空文庫
そのまた中を合乗で乗切る心無し奴も有難の君が代に、その日|活計の土地の者が摺附木の函を張りながら、往来の花観る人をのみ眺めて遂に真の花を観ずにしまうかと、おもえば実に浮世はいろいろさまざま。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
」 二三度聞直して漸く分ッて洋燈は持ッて来たが、心無し奴が跡をも閉めずして出て往ッた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
「兵法三十五※条」のうちに、此道二刀として太刀を二つ持つ儀、左の手にさして心無し太刀を片手にて取ならわせん為なり、片手にて持得ば、軍陣、馬上、川沿、細道、石原、人込み、かけはしり、若左に武道具持たる時|不如意に候えば片手にて取なり、太刀を取候事初め重く覚ゆれ共後は自由に成候。
— 直木三十五 『巌流島』 青空文庫
また歌へかし『わが君よ、かれが心は信かたく君に仕ふるそのほかに二心無し、夙よりぞ君に歸しぬ』と。
— ダンテ・アリギエリ Dante Alighieri 『歌よ、ねがふは』 青空文庫