黄楊
つげ
名詞
標準
文例 · 用例
黒く澄んだ、黄楊の葉の目が、やさしく、ただしシニカルでありたさうに折々見上げる。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
花に匂いもない黄楊の枝が触れている呼鈴を力なく押す。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
」 唐突に言うのがそれで、お孝はちょっと分り兼ねつつ、黄楊の横櫛を圧えたのである。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
さあ、氣に成ると心配は胸へ瀧の落ちるやうで、――帶引緊めて夫の……といふ急き心で、昨夜待ち明した寢みだれ髮を、黄楊の鬢櫛で掻き上げながら、その大勝のうちはもとより、慌だしく、方々心當りを探し※つた。
— 泉鏡花 『夜釣』 青空文庫
さあ、気に成ると心配は胸へ滝の落ちるやうで、――帯引占めて夫の……といふ急き心で、昨夜待ち明した寝みだれ髪を、黄楊の鬢櫛で掻き上げながら、その大勝のうちはもとより、慌だしく、方々心当りを探し廻つた。
— 泉鏡花 『夜釣』 青空文庫
キヤツと叫びて倒るゝを、見向きもやらず通りしは、優にやさしき人の、黄楊の櫛を唇に銜へしなり。
— 泉鏡太郎 『婦人十一題』 青空文庫
あたりを片付け鉄瓶に湯も沸らせ、火鉢も拭いてしまいたる女房おとま、片膝立てながら疎い歯の黄楊の櫛で邪見に頸足のそそけを掻き憮でている。
— 幸田露伴 『貧乏』 青空文庫
」 お庄はお袋の指図で、浅草にいたころ挿したような黄楊の櫛などを、前髪を広く取った島田髷の頭髪に挿さされた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫