常葉
とこは
名詞
標準
文例 · 用例
春ならば花さかましを、秋ならば紅葉してむを、花紅葉今は見がてに、常葉木も冬木もなべて、緑なる時にしあれば、遠近の畳なづく山、茂り合ふ八十樹の嫩葉、あはれとも看したまはな。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
彼は二部屋ある二階の六畳の方に古い桐の机を置いて、青年時代から書きためた自作の『松が枝』、それに飛騨時代以来の『常葉集』なぞの整理を思い立った時であるが、それらの歌稿を書き改めているうちに、自分の生涯に成し就げ得ないもののいかに多いかにつくづく想いいたった。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
』『別におかわりにもなつてゐないやうでございます――』『それで――』 そこに登子のおつきの常葉といふ中年の侍女が出て來た。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫
そこは侍女の常葉のゐるところだつた。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫
そこに常葉が高つきに羊羮を入れて運んで來た。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫
それから何のくらゐ經つたか、半※ほども經つたか、それとももつと長く經つたか、二人が氣がついた時には、呉葉と常葉とがこれもやつぱり何物にか襲はれでもしたやうにしてそこに來ておどおどしながら坐つてゐるのを見た。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫
』 登子は始めて我にかへつたといふやうにして常葉に訊いた。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫
かれ等の言ふところに由ると、何か奧で人の叫ぶやうな氣勢がしたので、何事かと思つて常葉を先きに、そのあとから呉葉がつゞいて驅けるやうにして入つて來ると、結び燈臺が消えてゐて、登子と窕子と引被いて打伏して了つてゐるのに度膽をぬかれて、かれ等もそのまゝそこに打伏してしまつたといふのであつた。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫