朝風
あさかぜ
名詞
標準
morning breeze
文例 · 用例
さういふ軽蔑のされ方ならその叔母のみならず毎度のことで、そんなことで腹が立つのでもなかつたが、何がなし癪に障つて、トラックの上にゐて顔に当る朝風は自分の一切合切をみる/\削り減らしてしまふやうに感じられる。
— 中原中也 『引越し』 青空文庫
空よく晴れて朝風やゝ肌寒く露の小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先おおかた黄ばみたる田面を見渡す。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
しかしまた、輕くなつた頬が朝風に撫でられるのも、惡い氣持のものではない。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
朱樺の火は燃え出した、その明るくなることは、花が発くのと同じで、万象の色が真の瞬間に改まる、槍と穂高と、兀々した巉岩が、先ず浄い天火に洗われて容を改めた、自分の踏んでいる脚の下の石楠花や偃松や、白樺の稚いのが、今眠から醒めたというように朝風に身振いしてソヨソヨと顫った、天地皆新しい。
— 小島烏水 『奥常念岳の絶巓に立つ記』 青空文庫
昭和九年九月廿九日の早朝新宿駅中央線プラットフォームへ行つて汽車を待つてゐると、湿つぽい朝風が薄い霧を含んでうそ寒く、行先の天気が気遣はれたが、塩尻まで来るととうとう小雨になつた。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
昭和九年九月二十九日の早朝新宿駅中央線プラットフォームへ行って汽車を待っていると、湿っぽい朝風が薄い霧を含んでうそ寒く、行先の天気が気遣われたが、塩尻まで来るととうとう小雨になった。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
仰げばすでに、はっきり覚めて、朝化粧、振威の肩を朝風に弄らせている大空の富士は真の青春を味うものの落着いた微笑を啓示している。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
頭の上の菩提樹の古木の枝が、静かに朝風に戦いでいる。
— リルケ Rainer Maria Rilke 『白』 青空文庫
作例 · 標準
朝風の例文