引き退ける
ひきのける
動詞
標準
文例 · 用例
それでも余は猶何とかして秀子を立ち去らせ度い者と、其の肩に手を掛けて「サア秀子さん彼方へ行きましょう」と引き退ける様にした、此の時忽ち余の足許をば、矢を射る様に通り過して縁側に飛び出した一物が有る、それは虎井夫人の彼の狐猿で有る、今此の室の戸を内から引っ掻いて居たのも即ち此の狐猿であろう。
— 黒岩涙香 『幽霊塔』 青空文庫
」と、お駒は竹丸の附け紐を解きながら言つて、懷中を押さへてゐる兩手を引き退けると、嵩張つた紙包がバタリと疊の上に落ちた。
— 上司小劍 『天滿宮』 青空文庫
「何をするッ※」と、私は力任せに妻の肩をつかんで後ろへ引き退けると、その拍子に妻はどたりと尻餅をつき、ガラス製のテーブルを引っくりかえしました。
— 小酒井不木 『安死術』 青空文庫
やましく思いながら顔を掩うた着物を源氏が手で引きのけるまで女は、さっき呼んだ女房の中将が来たのだと思っていた。
— 帚木 『源氏物語』 青空文庫