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紅殻

べにがら
名詞
1
標準
red iron oxide
文例 · 用例
霧がすっきりと霽れて、前には笠ヶ岳の大尾根が、赭っちゃけた紅殻色の膚をあらわし、小笠から大笠へと兀々とした瘤が、その肩へ隆起している、遠くの空に、加賀の白山は、いつもの冷たい藍色に冴えて、雪の縞が、むしろ植物性の白い色をおもわせる。
小島烏水 谷より峰へ峰より谷へ 青空文庫
紅殻が古びてい、荒壁の塀は崩れ、人びとはそのなかで古手拭のように無気力な生活をしているように思われた。
梶井基次郎 ある心の風景 青空文庫
灰色の壁と純白な窓掛けとで囲まれたきりで、色彩といえばただ鈍い紅殻塗りの戸棚と、寝台の頭部に光る真鍮の金具のほかには何もない、陰鬱に冷たい病室が急にあたたかくにぎやかになった。
寺田寅彦 病室の花 青空文庫
椰子の木の森の中を縫う紅殻色の大道に馬車を走らせた時の名状のできない心持ちだけは今でもありあり胸に浮かんで来るが、細かい記憶は夢のように薄れて、ただ緑と赭の地色の上に染め出された更紗模様のように混雑してしまっている。
寺田寅彦 病室の花 青空文庫
店の紅殻色の壁に天狗の面が暴戻な赤鼻を街上に突き出したところは、たしかに気の弱い文学少年を圧迫するものであった。
寺田寅彦 銀座アルプス 青空文庫
ぱっと塔のねもとからまっかな雲が八方にほとばしりわき上がったと思うと、塔の十二階は三四片に折れ曲がった折れ線になり、次の瞬間には粉々にもみ砕かれたようになって、そうして目に見えぬ漏斗から紅殻色の灰でも落とすようにずるずると直下に堆積した。
寺田寅彦 LIBER STUDIORUM 青空文庫
さてベランダの上にだが見れば銅貨が落ちてゐる、いやメダルなのかアこれは今日昼落とした文子さんのだ明日はこれを届けてやらうポケットに入れたが気にかゝる、月は※荷を食ひ過ぎてゐる灌木がその個性を砥いでゐる姉妹は眠つた、母親は紅殻色の格子を締めた!
亡き児文也の霊に捧ぐ 在りし日の歌 青空文庫
蒟蒻を廊下へ敷いたり、生大根の片腕を紅殻で落したり、芋※で蛇を捩り下げたり、一切そんな悪戯はしない事にしたんですよ。
泉鏡花 露萩 青空文庫
作例 · 標準
古い町並みを歩くと、紅殻で赤茶色に塗られた格子戸の家々が軒を連ねている。
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伝統的な漆器の下地に、防腐効果を期待して紅殻が混ぜ込まれた。
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実家の土蔵の壁は、年月を経て紅殻の色が少し色褪せて、良い風合いになっている。
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