未生以前
みしょういぜん
名詞-の形容詞名詞副詞
標準
before one's birth
文例 · 用例
もし科学上の事実や方則は人間未生以前から存していて、ただ科学者のこれを発見し掘出すのを待っているに過ぎぬと考える者の立場から見れば、このくらい古い物はない道理である。
— 寺田寅彦 『科学上の骨董趣味と温故知新』 青空文庫
戸野氏は隻手の声だの父母未生以前だの因縁所生の身。
— 岡本かの子 『智慧に埋れて』 青空文庫
昔し鎌倉の宗演和尚に参して父母未生以前本来の面目はなんだと聞かれてがんと参ったぎりまだ本来の面目に御目に懸った事のない門外漢である。
— 夏目漱石 『高浜虚子著『鶏頭』序』 青空文庫
未生以前よりこの耀やかしい地上に生れて来なければならぬ因縁が、時を得て初めて栗の芽生となつて顕現されたのである。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
顔面中央の一肉団……本来不動、無表現の鼻柱はかくしてその人の個性、性格、人格を表明すると共に、父母未生以前の因果、弥勒の出世以後の因縁までも同時に眼の前に結び止めて、輪廻転生のあらたかさをさながらに拝ませているのであります。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
なつかしや未生以前の青嵐(昭和十年七月、渋柿)曙町より(二十六) 風呂桶から出て胸のあたりを流していたら左の腕に何かしら細長いものがかすかにさわるようなかゆみを感じた。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
近ごろ古代支那哲学の通覧を著わした鈴木の説に従えば『道は宇宙に形を与える原理であると同時に、また「天と地の未生以前に存在した渾沌たる組成のある物」、すなわち原始物質を意味するもののようである。
— スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 『宇宙の始まり』 青空文庫
余が寂光院の門を潜って得た情緒は、浮世を歩む年齢が逆行して父母未生以前に溯ったと思うくらい、古い、物寂びた、憐れの多い、捕えるほど確とした痕迹もなきまで、淡く消極的な情緒である。
— 夏目漱石 『趣味の遺伝』 青空文庫
作例 · 標準
禅の公案には、「父母未生以前の本来の面目」を問う有名なものがある。
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未生以前の記憶があると言い張るその少年は、前世の出来事を詳しく語り始めた。
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私たちが存在しなかった未生以前の時間は、永遠という言葉でしか表現できない。
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