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惨澹

さんたん
名詞
1
標準
文例 · 用例
実際問題に打つ衝るとその衝に当るものは、幸福の代りに惨澹たる不幸を脊負込むのである。
葉山嘉樹 工場の窓より 青空文庫
四十年間、私は奴隷の一日として絶える事の無かった不平の声と、謀叛、無智、それに対するモーゼの惨澹たる苦心を書いて居ります。
太宰治 風の便り 青空文庫
山の手は助ったことが判ったが、とにかく惨澹たる東京の被害実状が次々に報ぜられた。
岡本かの子 金魚撩乱 青空文庫
苦心惨澹して、手織りのみすぼらしい貧弱な着物を着ているよりは、どうも昔の着物の方が立派にはちがいありません。
織田作之助 猫と杓子について 青空文庫
芸術家でも時に容れられず世から顧みられないで自然本位を押し通す人はずいぶん惨澹たる境遇に沈淪しているものが多いのです。
夏目漱石 道楽と職業 青空文庫
行かなかったのかと聞くと、長塚は額に八の字を寄せて、行ったんですけれども、とても駄目です、惨澹たるものです、汚ない所でしてね、妻君が刺繍をしていましてね、本人が病気でしてね、――金の事なんぞ云い出せる訳のものじゃないんだから、けっして御心配には及びませんと安心させて、掛物だけ帰して来ましたと云う。
夏目漱石 永日小品 青空文庫
然るにフランス公使は、土佐の人々が身命を軽んじて公に奉ぜられるには感服したが、何分その惨澹たる状況を目撃するに忍びないから、残る人々の助命の事を日本政府に申し立てると云った。
森鴎外 堺事件 青空文庫
その苦心惨澹、実に今日の人々の想像以上であったらしい。
岡本綺堂 明治劇談 ランプの下にて 青空文庫