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無月

むげつ
名詞
1
標準
moonless sky (poetic usage)
文例 · 用例
されば大河を前に、うつろひ易い人生の姿を見てあれば、「水無月や人の淵瀬の大井川」(蓼太)といつたやうな感じに打たれないものはなかつたであらう。
小島烏水 天竜川 青空文庫
ちょうど他には一人も客がなくて無月の暗夜はこの上もなく閑寂であった。
寺田寅彦 路傍の草 青空文庫
大きな硝子窓越しには遠くに雨雲のよどんだ夏の無月の空が、潤みを持つた紺碧の色に果てもなく擴がつてゐた。
有島武郎 小さき影 青空文庫
ちかきころ水無月中旬、二十日余り照り続きたる、けふ日ざかりの、鼓子花さへ草いきれに色褪せて、砂も、石も、きら/\と光を帯びて、松の老木の梢より、糸を乱せる如き薄き煙の立ちのぼるは、木精とか言ふものならむ。
泉鏡花 紫陽花 青空文庫
魂よばひ達かぬものか秋の空わが仏ひとり殖えたり神無月 この夕、少しく調ぶることありて、熊谷陣屋の浄瑠璃本をとり出して読む。
――甲字楼日記の一節―― 叔父と甥と 青空文庫
首を回らせば徃時をかしや、世の春秋に交はりて花には喜び月には悲み、由無き七情の徃来に泣きみ笑ひみ過ごしゝが、思ひたちぬる墨染の衣を纏ひしより今は既、指をの霊地に運びて寺に霜は募りて樹※に紅は増す神無月の空のやゝ寒く、夕日力無く舂きて、晩れし百舌の声のみ残る、暮方のあはれさの身に浸むことかな。
幸田露伴 二日物語 青空文庫
絽でしょう、空色と白とを打合わせの、模様はちょっと分らなかったが、お太鼓に結んだ、白い方が、腰帯に当って水無月の雪を抱いたようで、見る目に、ぞッとして擦れ違う時、その人は、忘れた形に手を垂れた、その両手は力なさそうだったが、幽にぶるぶると肩が揺れたようでした、傍を通った男の気に襲われたものでしょう。
泉鏡花 春昼 青空文庫
(未完)(二十一) 十一夜会の記 陰暦|水無月の十一夜、月いと美しき夜なりき。
石川啄木 閑天地 青空文庫
作例 · 標準
無月の夜は、星々がいっそう輝いて見えた。
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無月の闇の中、船は静かに進んでいった。
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詩人は無月の夜空に、深い哲学を感じていた。
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