心行
しんぎょう
名詞
標準
文例 · 用例
すべての恋する人々は、自分等以外に全く人影のない離れ小島の無人島で、心行くまで二人だけの生活をし、二人だけの会話をしたいと願うのである。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
心行くまで私はお前を熱愛したのだ。
— Love on Drought 『恋の一杯売』 青空文庫
彼女は朝起きの小児がよち/\近寄つて来でもすると、不自由な身体に懸命な力で抱き上げて、若蔦の芽を心行くばかり摘み取らせる。
— 岡本かの子 『蔦の門』 青空文庫
これが大自然に対しては冥通自在を得た山の祖神ともいわれるものの心行かよ。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
……はいゝとして、隣地心行寺の假門にかゝると、電車の行違ふすきを、同伴が、をかしなことをいふ。
— 泉鏡太郎 『深川淺景』 青空文庫
……心行寺と確いひましたつけ。
— 泉鏡太郎 『深川淺景』 青空文庫
うい傷じゃ、その傷もって天上御政道を紊す輩あらば心行くまで打ち懲らせ、とまでは仰せないが、上将軍家御声がかりの直参傷じゃ。
— 幽霊を買った退屈男 『旗本退屈男 第十話』 青空文庫
よくせきの場合だから細君が虚栄心を折って、田舎育ちの山出し女とまで成り下がって、何年の間か苦心の末、身に釣り合わぬ借金を奇麗に返したのは立派な心がけで立派な行動であるからして、もしモーパッサン氏に一点の道義的同情があるならば、少くともこの細君の心行きを活かしてやらなければすまない訳でありましょう。
— 夏目漱石 『文芸の哲学的基礎』 青空文庫