水漬け
みずづけ
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしはそのときわたくしのハンドバッグの中に残っていた僅かの銀貨と銅貨を葛岡の、失業以来水漬けのように白く柔く膨れて来た掌へ撒き移してやります。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
百人一首の一人、中納言|朝忠卿は干瓜を山のごとくに積んで、水漬けの飯をしたたかに食って人をおどろかしたと云うが、その干瓜というのは、かの雷干のたぐいかも知れない。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
怪異は飽くまで怪異としても、そうたびたび水漬けにされたんでは、第一靴がたまらない。
— テムズに聴く 『踊る地平線』 青空文庫
この幽霊は白日出できたりしのみならず、立派に足もありて、かつ水漬け二杯の馳走を受けて立ち去れり。
— 井上円了 『迷信と宗教』 青空文庫
政宗がディオゴ・デ・ガルバリヨというバテレンはじめ九名の信徒を氷のはった広瀬川へ水漬けにして処刑したのは一風変った処刑として名高い話。
— 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻―― 『安吾の新日本地理』 青空文庫
たとえば、その落首というのは、信濃なる木曾の御料に汁かけてただ一と口に九郎判官 とか、宇治川を水漬けにして掻き渡る木曾の御料を九郎判官 といった類のすこぶる下手な地ぐち調の狂歌にすぎない。
— 吉川英治 『随筆 新平家』 青空文庫