駆附
かけるふ
名詞
標準
文例 · 用例
若い男が倒れていてな、……川向うの新地帰りで、――小母さんもちょっと見知っている、ちとたりないほどの色男なんだ――それが……医師も駆附けて、身体を検べると、あんぐり開けた、口一杯に、紅絹の糠袋……」「…………」「糠袋を頬張って、それが咽喉に詰って、息が塞って死んだのだ。
— 泉鏡花 『絵本の春』 青空文庫
私は方々の医師へ駆附けた。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
……何も功徳だ、すぐにも先生の許へ駆附けよう。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」と野良調子の高声を上げて、広野の霞に影を煙らせ、一目散に駆附けるものがある。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
被った帽も振落したか、駆附けの呼吸もまだはずむ、お館の馬丁義作、大童で汗を拭き、「どうしたって、あれでさ、お前様、私ゃ飛んでもねえどじを行ったで。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
――手繰しめて駆附け、顔を見てまず安心、――が、その安心をさせないで、八郎は――さような晴がましき席へは出つけませぬ、かくの通り食べ酔いまして、この上御酒宴の席へ連りましては、明日の勤のほどが――と誰も頼まない、酔ったのを枷にして、不参、欠席のことわりを言うのである。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
お利代が醫者に驅附けた後、智惠子は怺へかねて一人で行つた。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫