一掬
いっきく
名詞
標準
small amount
文例 · 用例
別るゝ時一掬の雪を取つて、昌黎に與へて曰く、此のもの能く潮州の瘴霧を消さん、叔公、御機嫌ようと。
— 泉鏡花 『花間文字』 青空文庫
疾病の絶滅は實に希望するところであるけれども、そは洪大永遠の問題で、一朝夕にして之を論ずるも、一掬水を以て劫火に對するが如きものであるから姑く擱かう。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
百尋ばかり束ね上げた鮪縄の、舷より高かったのがよ、一掬いにずッと伸した!
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
なんのとがもないのに、わがいのちを断って見せるよりほかには意志表示の仕方を知らぬ怜悧なるがゆえに、慈愛ふかきがゆえに、一掬の清水ほど弱い、これら一むれの青年を、ふびんに思うよ。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
老翁既に貨を得ける、徐々として馬に導かれ歸るもの、自ら一掬を仰いて馬に飮ましむ。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
もし妾のために同情の一掬を注がるるものあらば、そはまた世の不幸なる人ならずばあらじ。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
言葉が足りぬが、ともかく一本を繙かれるならば、少くとも一掬の文学の妙に酔はれるであらうことは、僕としては疑ひを持たない。
— 牧野信一 『坂口安吾君の『黒谷村』を読む』 青空文庫
疾病の絶滅は実に希望するところであるけれども、それは広大永遠の問題で、僅かな時間で之を論じるのは、一掬いの水で大火に対するようなものであるから、それはしない。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
作例 · 標準
砂漠の真ん中で、彼は手のひらに残った一掬の砂を愛おしそうに見つめた。
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どん底の生活を送る彼らにとって、その炊き出しは一掬の救いとなった。
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瓶の中に残った一掬の小麦粉をかき集め、子供たちのために小さなパンを焼いた。
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