毒血
どくち
名詞
標準
文例 · 用例
そしてこちらの手あしに女の存在を知らせるのは、こちらがかの女に相分つた毒血のあツたかみである。
— 毒藥を飮む女 『泡鳴五部作』 青空文庫
彼は周密なる思慮を率いて、満腔の毒血を相手の頭から浴びせかけ得る偉大なる俳優であった。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
つまり、そこに髪梳きの、技巧があるというわけだが…その時は仮髪師為十郎の趣向からして、幕切の見得の際には照明を暗くさせ、眼だけを白く抜いて、真赤に滲み出る毒血の凄みを、内部に塗った、燐で浮き出させる仕掛けにしたのである。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
」 お幾は上総の生れで、こういうことには馴れているとみえて、すぐに主人の痛んでいる指のさきに口をあてゝ、その疵口から毒血をすい出しました。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
此奴が狗のような毒血を払ってはたして何物を掴んでいる?
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫
そうして毒血を絞られよう」「いいえ」と月子は厳かに云った。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
」 と、五助が、やわらかな肉体との接触に、毒血が沸き立ったように、「浪路どの、子供だ子供だと思ううちにいつか、恋にも狂うようになられたを見ての、拙者、これまでのそなたと、考えられなくなった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
祖父江出羽の赤い煩悩毒血が、赤い駕籠を赤く染めて、まるで噴き出すように散った。
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫